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建設業法の概説

2024-10-14 15:02:26
2024-10-14 15:34:47
目次
  • 建設業許可制度

  • 請負契約の適正化

  • 技術者制度

  • 経営事項審査

  • 法令遵守

  • 紛争解決

今回は、許可制度や経営事項審査、技術者制度、請負契約の適正化、法令遵守など、建設業法を俯瞰していきたいと思います。

建設業許可制度

建設業法の目的は、建設業を営む者の資質の向上と建設工事の請負契約の適正化等を通じて、適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに建設業を健全に発展させるものであり、業として営むためには国や都道府県より許可を得ることが必要です。

この許可制度は、建設業者に求める資質として経営能力、業種ごとの技術力、誠実性、財産的基盤を要件としており、工事の状況等に応じて必要となる一般建設業許可・特定建設業許可を、設置営業所の場所に応じて国土交通大臣(2以上の都道府県)や都道府県知事(1都道府県のみ)より受けることになります。特定建設業許可は元請として4500万円以上の下請契約を結ぶ場合、一般建設業許可は特定建設業以外の場合(許可が不要となる軽微な工事を除く)という区分になります。

許可の有効期限は5年であり、更新手続きにより継続して業を行うことができます。

請負契約の適正化

建設業における請負契約の適正化は、元請業者と下請業者間の契約が、公正かつ適正に結ばれるようにするためのものです。具体的には、元請業者が下請業者に対して不当に低い下請代金を強いることや不当な使用資材などの購入の強制、著しく短い工期を禁止すること、速やかな工事完成後の検査と目的物の引き渡しなどが挙げられます。さらに、下請契約には対等公正・信義誠実の原則に基づき、書面の作成が求められています。これにより、口頭での契約や不正確な内容の契約による紛争発生をできるかぎり抑制する役割を担っております。

技術者制度

建設業法では、施工の技術的な管理を行う技術者の存在が不可欠とされています。技術者制度は、工事の品質を維持し、事故やトラブルの防止を図るべく、工事現場において適切な技術力を持つ人主任技術者または監理技術者を配置することになっています。

監理技術者とは、特定建設業者が元請として4500万円以上(建築一式工事の場合は7000千万円以上)の工事を下請けさせる場合に工事現場に配置される技術者です。この監理技術者に必要な資格・経験は、特定建設業の許可のため営業所に置かなければならない技術者と同じであり、業種に応じた高度な技術検定合格者免許取得、主任技術者の実務経験等に加えて元請けとして4500万円以上の工事を2年以上指導監督した経験などとなっております。

また主任技術者は監理技術者を置かなければならない工事以外に原則配置される技術者であり一定の実務経験や国土交通大臣が認める資格取得が必要です。

なお最近では建設現場の生産性向上の観点から、技術者配置の規定が一部緩和されてきております。

経営事項審査

経営事項審査は、建設業者の経営状況や技術力ほかを点数化して評価する制度です。この点数は公共工事の入札資格審査に使用されるものであるため、公共工事の元請を希望する建設業者は必ず受審しておかなければなりません。

そして公共工事の契約を締結できるのは審査基準日(審査終了年度の直前の事業年度終了)から1年7ヶ月の時点までの間となります。切れ目なく公共工事を請け負うことができるためには、毎年定期に十分なゆとりをもって受審することが必要です。

法令遵守

建設業法における法令遵守は、建設業者が法律を遵守し、社会的責任を果たすことを求める重要な要素です。

この建設業法や入契法違反は監督処分の対象となります。この監督処分には、軽い方から順に、指示処分、営業停止処分、許可の取消処分があり、いったん許可が取り消されると、新たに5年間は許可を受けることができないということになっております。

監督処分に至らない場合であっても、建設工事の適正な施行の確保等のために必要な指導、助言、勧告や、国土交通大臣や都道府県知事による営業所などへの立ち入り検査等も行われることがあります。

そして建設業者には、建設業法以外にも労働者の保護などに関わる法律等を遵守する義務もあります。

紛争解決

建設業においては、工期の遅延や追加工事に伴う費用の問題など、元請業者と下請業者との間で紛争になることがあります。こうした紛争を迅速かつ適切に解決するために建設工事紛争審査会が設けられています。この審査会は、国土交通省及び各都道府県に設置されており、当事者の申請に基づいて、あっせん、調停、仲裁が行われます。

建設工事にかかる紛争は、技術的な事項に関する内容や、早急に工事を再開しなければならないとか事業資金確保のため早急に代金の支払いを受けたいといった早期解決が求められるケースが多いことから、法律、建築、土木等の専門家の委員の知見を活かして、紛争の簡易・迅速・妥当な解決を図られています。

まとめ

建設業法は、建設業を営む者の資質の向上と建設工事の請負契約の適正化等を通じて、適正な施工を確保し、公共の利益を守るために重要な役割を果たしています。許可制度や経営事項審査、技術者制度、請負契約の適正化、法令遵守により、建設業界全体の品質が維持され、紛争が発生した場合には迅速に解決できる仕組みが整えられています。これにより、社会のインフラや建設業界の信頼が守られているのです。

次回は建設業法のそれぞれの制度について詳しく見ていきたいと思います。

この記事を書いた人

yushikurasono